近況−(かろうじて)生存報告

気がついたら、2か月ぐらい放りっぱなしにしてしまいましたが、一応、生きています。

手短に近況報告をいたしますと、この前のエントリー以降、いい加減締切を延ばしのばしにしているM&A法の教科書(共著)執筆を進めていたのですが、そのうち、今年初め少し落ち着いていた通常業務がありがたいことに盛り上がり始めてきて、更新をつい怠ってしまいました。

週末にでもと思ったんですが、執筆が気になっていたのと、本当はパートナーのおもちゃとして我が家にやってきたはずのデジタル一眼(オリンパスE-30という機種です)に、何故かはまってしまっていました。
このブログの左に写真がちょこちょこロールしているのは、そういうわけです。

まだ、しばらくはばたばたしそうなんですが、タイミングが遅くなってしまったところもあるのですが、頂いた御本の紹介など(遅ればせながら)少しさせて下さい。

会社法 (LEGAL QUEST)

会社法 (LEGAL QUEST)

まずは、いつもお世話になっている会社法の先生方の共著になるリーガル・クエス会社法です。
会社法には、江頭先生や神田先生の基本書をはじめ、いい基本書がたくさんあります。
こうした基本書は、「知識の泉」であり、「求めよ、さらば与えられん」という世界で、既に会社法世界の住人になった人間にとっては、飽きることのないバイブルなんですが、これから会社法の世界を覗いてみようかという人にとっては、その荘厳さ故に近寄りがたさもあります。
この本の著者の先生方が目指したのは、何というか歩み寄る会社法とでもいうんでしょうか、会社法の世界は、こんなにも面白いんだよということを、これから会社法に入る人たちに伝えてくれる本です。
この本を読ませて頂いて、個人的にはClark教授のCorporate Lawを思い出しました。
もちろん、私のような実務家にとっても、特にコラムは読み応えがありますし、実は各所にちりばめられた図表は、このまま英語に訳して海外クライアント向けの説明に使ってしまいたいと思うぐらいに、見事に整理されています。
ともかく、会社法の世界の入り口をちょっと覗いてみたい人から、どっぷり浸かっている人まで、誰にでもお薦めさせて頂きます。

もう一つは、Taejunさんの初著書。

中学生向けにファイナンス理論を伝えようというTaejunさんならではの意欲的な着想ですが、さすがにいつもブログで披露している筆力と知見の広さが存分に活かされた内容です。
個々の記述については、今度お会いしたときにでも議論させて欲しいところがありますが、中学生向けだからといって通り一遍の解説をするのではなく、そうした議論欲をかき立ててくれるような深遠な問題提起もなされているところは見逃せません。
「15歳から」なので、上限は設けられていませんので、ファイナンス理論に馴染みのある人もそうでない人も、これまたどなたにでも自信をもってお薦めさせて頂きます。

こういう本を拝読すると、目の前の仕事を処理するだけでなく、執筆とかもきちんとやらなくちゃなぁ、という気になります。

だからというわけでもないのですが、来週は「企業結合と独禁規制」という事務所主催のセミナーで、M&Aと企業結合審査の絡みをお話しさせて頂くことになっています。
一応、余り文献等では書かれていない、M&Aの交渉・デューデリジェンス過程での情報交換の問題(gun jumping)や、最近の企業結合規制の事前相談プロセスの実務とかについてお話しさせて頂く予定です。
また、当事務所の川合弁護士からは国際的な企業結合規制の動向や、NERAの石垣さんからは企業結合規制における経済分析のお話しも予定されています。

相変わらずばたばたしていて、次回の更新がいつになるかは分かりませんが、とりあえず生存報告ということで。