慎泰俊『働きながら、社会を変える。』

「備忘録」と名付けたブログ自体、危うく忘れそうになってしまうぐらいの久方のブログ更新です。 すっかり半年に一度の更新ペースになりつつあるのですが、それもこれも今年は忙しかったから・・・などという言い訳を用意していた自分の頭をガツンと殴られたよ…

これから「原発」とどうつきあっていこうか

MIS

最初に告白してしまうと、3月11日の巨大地震以後これまでぐらい、自分のチキンぶりを思い知らされたことはありません。 携帯に入ってくる地震速報にびびり、福島第一原発の状況に一喜一憂し、文科省の環境放射線水準を確認しては、家族を実家に疎開させるべ…

facebookへの出資スキームのどこが問題か?

遅ればせながら、皆様明けましておめでとうございます。写真は本文とは全く関係ありませんが、最近、趣味をきかれると「写真」と答えるぐらいにはまっているので、今年はブログにも積極的に載せていこうかなどと考えています。 中身ではなく、写真の方へのコ…

新たな役員報酬規制への違和感

おおむね月1度ペースで開催されている資本市場研究会の勉強会は、本当にいつも勉強になります。 で、今回は首都大学東京の尾崎悠一准教授による「金融危機と役員報酬規制」というご報告でした。 詳しい内容は、きっと研究会の成果をまとめた本に載ると思います…

思いつき:ローとエコのすれちがいは、どこに?

私は法学と経済学ぐらいにシナジーのある学問はないんじゃないかと勝手に信じているんですが、世の中にはもちろんそうではない人たちもたくさんいます。 「それがいい組み合わせである」と信じてもらうためには、まあ地道に実例や実績をつみあげていくしかない…

ちょっと蛇足ながら、何故株主と従業員の対立構造に私がアレルギーを覚えるかについて

昨日のエントリーには、twitter上でも色々と反響を頂き、ちょっと怖いなあという感じです。 もっとも、ここ数日のつぶやきとブログを見て、この弁護士よっぽど暇なんだろうなぁ、と、思った方もいるんだろうな、と。 ま、ある意味、物理的に時間がとれなけれ…

「株主主権」「株主至上主義」の正体

最近、一部*1で流行語大賞候補なのは、「株主主権」やら「株主至上主義」やら言った言葉です。 歴史は繰り返すというのか、何だか2005年、2006年の頃にも、よく聞いた言葉で、その時にも、こうした用語を使った議論がいかに不毛かということを、オブラートに包ん…

反リフレ派の勝利?〜マクロ音痴の備忘録

最近はTwitterのつぶやきで満足してしまって、ブログの更新に至っていませんが、勝間さんの発言をきっかけとしてか、Twitter上ではリフレ派対反リフレ派の議論が(一部で)盛り上がりを見せています。 で、反リフレ派?と目される論者からは、最近の経済学の論…

週刊ダイヤモンド(8月29日号)の謎を解く

MIS

週刊 ダイヤモンド 2009年 8/29号 [雑誌]出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2009/08/24メディア: 雑誌購入: 3人 クリック: 10回この商品を含むブログ (10件) を見る「厳選!有名企業も便りにする「らつ腕弁護士」〜企業法務・商務・渉外分野の若手・中…

8月も半ば・・・

MIS

気がついたら2か月放ったらかしですね。すみません 7月は何をしていたかというと・・・新人弁護士の採用活動をしていました。 会う人、会う人、皆優秀で志が高い人ばかりで、話しているとこちらも刺激を受けました。 私の頃は修習に入ってから本当に1年ぐらいか…

独禁法とM&A実務の交錯

というテーマで1か月ぐらい前にセミナーをやったんですが、その時のレジュメを、このブログの読者の皆様にだけ公開します(って、口頭での補足がないとイマイチ内容がつかみにくいかもしれなんで、別にそんなに恩着せがましくいうようなもんでもないんですが・…

ソフトローはおとなの味?

昨日、東証の報告書の話を書いたら、噂になっていた金融庁の金融資本市場国際化SG((正式名称は「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」です)の報告書案も昨日公表になってました。内容的には東証の報告書に重なるところや、新聞などでもとり…

ソフトローの発展と法曹教育?

思った程注目を浴びていないような気もする、東証の上場制度整備懇談会が公表した「安心して投資できる市場環境の整備について」ですが、今後の上場会社の資金調達に与える影響は相当に大きいものがあり、この報告書の内容や、それを元に今後整備されて行くで…

近況−(かろうじて)生存報告

気がついたら、2か月ぐらい放りっぱなしにしてしまいましたが、一応、生きています。手短に近況報告をいたしますと、この前のエントリー以降、いい加減締切を延ばしのばしにしているM&A法の教科書(共著)執筆を進めていたのですが、そのうち、今年初め少し落…

「資本市場」283号:サブプライムの「戦犯」(?)

CDSのCCPについての記事が手許に届いた月刊「資本市場」283号(2009年3月号)に「欧米のCDS清算機関設立動向」という記事があったので早速目を通し始めたところ、それ以外にも以下の論文が非常に興味深く、思わず読みふけってしまいました。 広田真人「クレジットリ…

最近のヘビーローテーション

堅い話題ばかりだと肩が凝るので、別に私がどんな音楽を聴くか興味のある方も少ないと思いますが、最近(といっても、発表は結構古いものも入っていますが・・・)車を運転するときやi PODでヘビーローテーションとなっているものをいくつかご紹介。

金融危機の「その後」は?(1)

前回の研究会で思ったことを反芻しようと思って書き始めた、クレジット・デリバティブ関係の記事(日本のクレジット・デリバティブ市場の不思議、同(続き))も完結しないうちに、早くも次回の勉強会の期日が到来してしまいました・・・ 今回も、クレジット・デリ…

アンチ・プロフェッショナルのススメ

思えばニューヨークを去るときにふぉーりん・あとにーの憂鬱を慌ただしく閉鎖してから、早くも2年数ヶ月が過ぎ去りました。 何で今更ブログを再開したのかについては、いろいろと考えるところもあるのですが、きっかけという意味でいえば、ブログを通じて知…

MSCBりだっくす〜被害者は誰か?

toshiさんのブログ経由で、ジャルコのMSCB発行リリースを知りました。まだ内容について詳しくは分析的できていないのですが、株主構成を見ると有限会社雪谷商事山川が議決権の約42%を押さえているようです。プレスリリースによれば、会社と雪谷商事山川との…

「米国流の利益追求主義」とは何だろう?〜歴史的建造物の保護について雑感

鳩山総務相「国辱もの」 旧東京中央郵便局を視察 (3/2/09 NIKKEI NET) 鳩山邦夫総務相は2日、再開発工事が進んでいる東京駅前の旧東京中央郵便局を視察し、重要文化財の価値がある建物を「米国流の利益追求主義で壊してきたのは国の恥だ。国辱ものだ」と語っ…

Suggested best practice for submissions of technical economic analysis from parties to the Competition Commission

英国のCompetition Comission("CC")から、2009年2月24日付けで経済学的分析提出に際してのベスト・プラクティスのガイドラインが公表されました(プレス・リリース、PDF)。わが国でも最近は企業結合の場面を中心に統計学・経済学的分析が用いられることが多く…

政府と市場の微妙な関係〜株式買取構想について

公的資金で株式買い取り 政府、株価対策を検討 (2/25/09 NIKKEI NET) 政府は24日、下落傾向が続く株式相場の下支えに向け追加対策の検討に入った。銀行等保有株式取得機構の購入対象資産を拡大し、政府保証付きの公的資金で市場から直接、株式などを買い上げ…

ライツ・プラン発動の初事例

アウトプット(ブログ)を意識することの効用の一つは、インプットの意識も高まるところにあると思うのですが、改めて留学時代に収集していたブログ等を整理しているうちに、アメリカでライツ・プランについて歴史的な動きがあることを知りました。ライツ・プ…

NRGの抵抗とempty voting?

NRG Blasts Exelon Bid as Deadline Approaches (New York Times 2/18/09)株式対価の買収提案に対して、対象会社の取締役会が株主に対して公開買付けに応募しないよう働きかけるということ自体は珍しい話ではないものの、興味深い点をいくつか抜粋 Even so, …

日本のクレジット・デリバティブ市場の不思議(続き)

誰が「保険」を売る/買うんだろう? 前回は、日本のクレジット・デリバティブ市場は金融危機前からどこかいびつなところがあったんではないかという話をしたんですが、どうして、そんなことを思ったかというと、CDSの典型的な使われ方にあります。CDSの典型的…

米国企業結合規制強化の動き?

Merger Scrutinity Expects to Rise (New York Times 2/17/09)内容的には何というか余り見るべきことはなし。Summersがchief economic advisorに復帰したからbeahavioral economicsが席捲するといった下りとか、正直??が飛びますが、Skaddenの弁護士が書い…

isologueを見てお越しの方へ

MIS

こっそりとリハビリがてら少しずつやっていくつもりのはずが、isologueでご紹介頂いたおかげで、一夜にしてカウンターが4桁に・・・ということで、随分多くの方にお越し頂いたようで恐縮です。数年前米国滞在中にふぉーりん・あとにーの憂鬱というブログをやっ…

今年の新人セミナーの問題

M&A

うちの職場では新人さんが入ると、新人セミナーなるものを1か月半ぐらい短期集中でやるんですが、ここ2,3年は敵対的買収を私が担当しています。 既に蓄積があるので、前にやった奴を使い回せばいいやとも思うのですが、情報のアップデートを入れ込むことを考…

日本のクレジット・デリバティブ市場の不思議

今日はとある研究会でBNPパリバのクレジット調査部チーフクレジットアナリストの中空さんのお話しを聞く機会がありました。早わかりサブプライム不況 「100年に一度」の金融危機の構造と実相 (朝日新書)作者: 中空麻奈出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: …