今年の新人セミナーの問題

うちの職場では新人さんが入ると、新人セミナーなるものを1か月半ぐらい短期集中でやるんですが、ここ2,3年は敵対的買収を私が担当しています。
既に蓄積があるので、前にやった奴を使い回せばいいやとも思うのですが、情報のアップデートを入れ込むことを考えていたりすると、結局、ちょこちょこ手を入れたくなってしまい、結局セミナーの前の週とかにレジュメ等を配布ということなったりします。
今年は、昨年までとちょっと趣向を超えて、少し実際のケースをベースにした設問形式をとってみたりということで、こんな問題を作ってみたりしました。(個社名はちょっと伏せてしまいましたが、配布している資料は実際にプレスリリースされて入手可能なものです)

【設問1】
 平成xx年x月x日、Xファンドは、A社に対して、同社株式の買付提案を行いました(参考資料1 )。
 この申し入れに対して、A社は、平成20年2月26日に買付提案に反対する旨の意見を表明しました(参考資料2)。
 上記に関して、テキスト*1のpp.1〜19を読んで、以下の小問のうち、何れか一つを選んで検討して下さい(両方とも検討することは妨げられません)。

(a) Xファンドが、A社に買付提案を行った動機(理由)は、どこにあると考えられるでしょう?また、そのような動機はXファンド以外のA社の一般株主から見て、どのように評価されるべきことでしょう?
(b) A社の取締役会が、Xファンドによる買付提案を拒否した理由は何でしょう?また、その理由は、Xファンド以外のA社の一般株主から見て、どのように評価されるべきことでしょう?

【設問2】
 平成xx年x月xx日、甲社は、乙社に対して、同社普通株式の「友好的な」公開買付提案を公表しました(参考資料3)。
 このような提案をなされた乙社の取締役会に対して、弁護士としてどのようにアドバイスを行うべきか、テキストのpp.19〜22を読んで、会社法上・金商法上の会社又は役員の法的義務を整理した上で、採り得る戦略的対応を検討して下さい。

【設問3】
 上記の甲社による公開買付提案に対して、乙社は平成xx年x月x日、賛同しないことを表明すると共に(参考資料4)、丙社との経営統合を発表しました(参考資料?)。
 甲社が、なお乙社の支配権を獲得するために採り得る手法と、そのメリット/デメリットを検討して下さい。

ソクラテスメソッドというのは、講義を受ける方もどきどきだと思うのですが、教える方も、思わぬ方向から答えが返ってきても対応しなくてはいけないという意味では、ちょっと大変でもあるんですが、まあ、午前中の講義で眠気を覚ます意味でも、このぐらいの緊張感は保ちながらやろうかなという感じです。

*1:現在、同僚と執筆中のLS向けのM&A法の教科書の原稿です